やさしい物語を、少しずつ更新しています。

【発達障害と不器用さ】中学生の私が、技術・家庭科の授業で苦労したことー第27話ー

🌸人生の物語

中学生になると、小学校にはなかった「技術・家庭科」という科目が加わりました。

技術の授業では、木材などを使った作品作りやパソコンの操作。

家庭科では、調理実習やミシンを使った裁縫などを学びました。

どれも生活に役立つ大切な内容だったと思います。

しかし、手先を使うことが苦手だった私にとって、技術・家庭科の授業は決して簡単なものではありませんでした。

周りの友達が当たり前のように作業を進めていくなかで、私は何度も手が止まってしまいました。

作品を作るのに時間がかかった

私は小さい頃から手先が不器用でした。

ハサミを使ったり、決められた形に合わせて何かを作ったりすることが苦手で、小学校の図工でも苦労していました。

中学校の技術の授業では、さらに複雑な作業が増えました。

先生の説明を聞きながら道具を使い、決められた手順に沿って作品を完成させなければなりません。

しかし、私は道具をうまく扱えませんでした。

説明を聞いているつもりでも、実際に作業を始めると、

「次は何をすればいいんだろう」

「どこに取りつければいいのかな」

と分からなくなってしまいます。

一つの作業を終えるまでにも、とても時間がかかりました。

周りを見ると、友達はどんどん先へ進んでいます。

同じ時間に作り始めたはずなのに、友達の作品は少しずつ完成に近づき、私は最初のほうで止まったままでした。

時間内に終わらせようと焦れば焦るほど、手元の作業がうまくいかなくなりました。

友達が手を貸してくれた

あまりにも作業が進まないときには、友達が私の様子に気づいて手を貸してくれることもありました。

「ここはこうするんだよ」

と教えてくれたり、ときには私の代わりに作業を進めてくれたりしました。

助けてもらえたことで、なんとか作品を完成させられたこともあります。

当時の私は、友達に助けてもらうことを申し訳なく感じていました。

みんなは自分の作品を作らなければならないのに、私のために時間を使わせてしまっていたからです。

それでも、一人では最後まで完成させられなかったかもしれません。

困っている私に気づき、自然に手を貸してくれた友達の存在に、私は何度も助けられていました。

パソコンの授業でも指示についていけなかった

技術の時間には、パソコンを使った授業もありました。

今振り返ると、パソコンの操作そのものだけが苦手だったわけではなかったように思います。

当時の私は、先生が話している内容を聞き取り、その指示どおりに操作することが苦手でした。

先生はパソコンの画面を見せながら、

「ここを開いてください」

「次に、この項目を選んでください」

と説明していたのだと思います。

しかし、私は先生が何を言っているのか、うまく理解できませんでした。

一つ前の操作で止まっているうちに、先生の説明は次へ進んでしまいます。

やっと画面を開けた頃には、周りの友達はすでに別の操作を始めていました。

どこまで進んでいるのか分からなくなり、画面を見たまま動けなくなることもありました。

先生にもう一度聞けばよかったのかもしれません。

けれど、何が分からないのかを自分の言葉で説明することも、当時の私には難しかったのです。

周りと同じ画面を表示できないまま、授業が終わってしまうこともありました。

調理実習で任されたのは皿洗いだった

家庭科の調理実習でも、私はうまく作業に参加できませんでした。

特に苦手だったのが、包丁を使う作業です。

私が包丁を持っている姿を見た周りの人から、持ち方が怖いと言われました。

自分では普通に持っているつもりでしたが、周りから見ると危なっかしく見えたのだと思います。

けがをしないようにという配慮もあったのでしょう。

私は包丁を使う作業を任せてもらえず、主に皿洗いを担当することになりました。

しかし、私は皿洗いも得意ではありませんでした。

どの皿から洗えばいいのか。

洗ったものをどこに置けばいいのか。

どのくらいきれいになれば終わりなのか。

周りが料理を進めているなかで、自分がどのように動けばいいのか分からず、皿洗いでも戸惑っていました。

みんなが材料を切ったり、炒めたりしている姿を見ながら、私は調理にほとんど参加できていないように感じていました。

同じ班の一員なのに、自分だけが輪の外にいるような気持ちになることもありました。

ミシンを使う授業も苦手だった

家庭科では、ミシンを使う授業もありました。

布を決められた位置に置き、線に沿ってまっすぐ縫っていく。

言葉にすると簡単そうですが、私には難しい作業でした。

布を押さえながらミシンを動かすと、縫い目が曲がってしまいます。

操作の手順も覚えられず、どこを触ればいいのか分からなくなることもありました。

失敗するのが怖くて慎重になりすぎると、今度は作業がまったく進みません。

周りの友達が次の工程へ進んでいても、私は同じところで何度も止まっていました。

そんな私を見かねて、友達が作業を手伝ってくれることもありました。

教えてもらっても自分ではうまくできず、最終的には友達にやってもらった部分もあったと思います。

作品が完成したときは安心しました。

けれど同時に、

「自分一人では完成させられなかった」

という思いも残りました。

「やらない」のではなく「できなかった」

当時は、自分がどうして技術・家庭科の作業についていけないのか分かりませんでした。

周りと同じ説明を聞き、同じ道具を使っているのに、私だけがなかなか進められません。

そのため、自分は努力が足りないのだと思っていました。

けれど、大人になった今なら、手先の不器用さだけが理由ではなかったと分かります。

口頭で伝えられた複数の指示を覚えながら作業すること。

先生の見本を見て、自分の手元で同じ動きを再現すること。

周りの進み具合を確認しながら、次に何をすればよいのか判断すること。

技術・家庭科の授業では、私が苦手としていたことが一度にいくつも求められていました。

私は授業に参加したくなかったわけでも、作品を完成させる気がなかったわけでもありません。

やろうとしても、どのように進めればいいのか分からなかったのです。

友達の助けがあったから完成できた

技術・家庭科の授業では、自分の苦手なことを何度も突きつけられました。

作品作り、パソコン、調理実習、ミシン。

どの授業でも周りと同じようにはできず、友達に助けてもらうことがありました。

自分でできなかったことへの悔しさや申し訳なさは、今も覚えています。

それでも、あのとき友達が手を貸してくれたからこそ、私は途中で投げ出さずに作品を完成させることができました。

当時の私に必要だったのは、「ちゃんとやりなさい」という言葉ではなく、作業を一つずつ区切った説明や、実際に手元を見ながら教えてもらうことだったのかもしれません。

できないことがあっても、それは本人が怠けているからとは限りません。

一生懸命取り組んでいても、周りと同じ方法ではうまくできない人もいます。

技術・家庭科で苦労した経験もまた、自分の特性を知らないまま、一生懸命みんなについていこうとしていた中学生の私の大切な記憶です。

読者へのメッセージ

授業についていけなかったり、周りと同じように作業できなかったりすると、「自分は努力が足りないのかな」と感じてしまうことがあります。

でも、苦手な理由は人によって違います。

手先の不器用さや、口頭で伝えられた指示を理解する難しさなど、本人の努力だけでは補いきれないこともあります。

「やらない」のではなく、一生懸命やろうとしても「できない」ことがある。

そんなときは、作業を一つずつ区切ったり、実際に見本を見せたり、その人に合った方法で伝えることが大切なのだと思います。

そして、あの頃の私のように、誰かの助けがなければ進められないことがあっても、それを恥ずかしいと思わなくて大丈夫です。

あなたに合う方法や、そっと手を貸してくれる人はきっといます。

できなかった自分を責めるのではなく、一生懸命取り組んでいた自分のことを、少しだけ認めてあげてほしいです。

🌸白蜜ゆあについて
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発達グレー当事者「白蜜ゆあ」が、子ども時代から現在までの経験や気づきをやさしい物語として発信。恋愛・仕事・推し活も楽しみながら歩んできたリアルな人生の記録を綴っています。
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