転校してからしばらく経った頃のことです。
転校先の担任の先生は、どうやら暗唱が好きな先生だったようで、国語の授業で宮沢賢治の『やまなし』を暗唱することになりました。
当時の私は、暗唱そのものの意味もよく分かっていませんでした。
ですが、暗唱の宿題が出たことを知ったお母さんは、私が昔から暗唱が得意なことを分かっていたようです。
小学校低学年の頃、私は九九の暗唱が得意でした。
もしかしたら、お母さんはその頃から私の得意なことに気づいていたのかもしれません。
そこで、お母さんと一緒に夜な夜な特訓が始まりました。
教科書に載っている内容を、1〜2週間ほどかけて何度も繰り返し読みました。
覚えては確認し、また覚える。
そんなことを繰り返しながら、少しずつ文章を頭に入れていきました。
発表は2回に分けて行われることになっていて、本番はクラスのみんなの前で暗唱するスタイルでした。
私はとても緊張していました。
順番が近づくにつれて顔がどんどん熱くなってきて、「間違えたらどうしよう」と不安になったことを覚えています。
それでも、本番では最後まで言葉が途切れることなく、2回とも間違えずに暗唱することができました。
発表が終わったあとには、
「できる人がいるとプレッシャーになる〜」
と言われた記憶があります。
当時の私は、勉強も得意ではありませんでした。
運動も苦手でした。
できないことの方が多くて、自信を持てることもほとんどありませんでした。
そんな私にとって、暗唱だけは違いました。
このとき初めて、
「私にも得意なことがあるんだ」
と感じることができた気がします。
今振り返ると、あの経験は私にとって小さな成功体験だったのかもしれません。
そして、それからしばらくして私は小学校を卒業しました。
後になって親友とこの話をしたとき、
「あの頃やっていた暗唱って、実は最先端の教育だったらしいよ。当時はまだ取り入れている学校も少なかったみたい」
と教えてもらいました。
本当かどうかは分かりませんが、もしそうだとしたら、あの先生は時代を先取りしていたのかもしれません。
ただ一つ確かなのは、あの暗唱の経験が、できないことばかりに目を向けていた私に「得意なこともある」と教えてくれたことです。
読者へのメッセージ
発達障害の特性があると、「できないこと」に目が向きやすいことがあります。
私自身も、子どもの頃はできないことばかりを指摘されてきました。
でも、人にはそれぞれ得意なことがあります。
それは勉強や運動のように分かりやすいものとは限りません。
私にとっては、それが暗唱でした。
もし今、自信をなくしている人がいたら、まだ見つかっていないだけで、きっとどこかにあなたの得意なことがあると思います。
私の経験が、少しでも誰かの希望につながればうれしいです。
🌸白蜜ゆあについて


🌸初めての方へ
このブログでは、
発達障害当事者としての人生を
時系列でつづっています。
はじめて読む方はこちらからどうぞ🌸
🌸初めての方へ
🌸お話を聞く活動もしています
現在、ココナラで
「当事者目線のやさしい傾聴」
の活動を始めました。
・生きづらさ
・仕事や人間関係
・恋愛の悩み
・ただ誰かに話を聞いてほしい
そんな気持ちを、あなたのペースでお話しください。


コメント